🐾catable〜猫の食卓〜

手作り食を猫と一緒に楽しむにあたり気をつけたいこと

手作りごはんは、猫の好みに合わせられたり、食材を目で確認できたりする楽しさがあります。その一方で、市販の総合栄養食とは違い、与え方を間違えると健康を損なうこともあります。ここでは、catableで手作り食を楽しんでいただくにあたり、知っておいていただきたいことをまとめました。

1. 猫に与えてはいけない食材を知る

以下のような食材は、少量でも中毒症状や体調不良を引き起こすことがあるため、猫には与えないでください。

ねぎ類(玉ねぎ・長ねぎ・にら・にんにく等) ― 含まれる硫化アリル(有機硫黄化合物)が赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。加熱・乾燥(オニオンパウダー等)しても毒性は失われません。

チョコレート・ココア ― テオブロミンとカフェイン(メチルキサンチン類)を代謝しにくく、嘔吐・下痢・不整脈・けいれんを起こすことがあります。カカオ含有量が高いものほど危険です。

ぶどう・レーズン ― 少量でも急性腎不全を起こすことが報告されています。原因物質は特定されていませんが、個体差なく危険とされています。

アルコール類 ― 体重に対する影響が非常に大きく、少量でも中枢神経抑制・呼吸困難・肝障害を起こす危険があります。

キシリトール ― 急激なインスリン分泌を誘発し低血糖を起こすほか、肝不全のリスクも指摘されています。

マカダミアナッツ ― 中毒メカニズムは未解明ですが、嘔吐・震え・後肢の脱力等が報告されています。

カフェインを含む飲料(コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンク等) ― チョコレートと同様にメチルキサンチン中毒を起こします。

アボカド ― ペルシンという成分による中毒が報告されています。

生卵の卵白 ― アビジンという成分がビタミンB群の一種ビオチンの吸収を妨げます。また、サルモネラ菌等の食中毒リスクもあるため、卵は加熱して与えましょう(卵黄は加熱すれば貴重な栄養源になります)。

また、鶏の骨など尖った骨は、喉や消化管を傷つける危険があるため取り除いてください。

catableでは、レシピ投稿の際にこうした危険食材を自動で判定し、選択できないようにしています。ただし、加工食品などは食品名から判別できない場合もあるため、最終的な安全確認はご自身でお願いします。

2. 手作り食で特に注意したい栄養バランスの落とし穴

「危険な食材を避ける」だけでは不十分で、手作り食ならではの栄養バランスの偏りにも注意が必要です。特に以下の4つは、知らないまま長期間続けてしまいがちな落とし穴です。

タウリン不足に注意

猫は完全肉食動物で、タウリンを体内でほとんど合成できないため、食事から毎日補う必要があります。タウリンは動物性の食材にしか含まれず、鶏むね肉のように部位によって含有量が少ない食材だけに偏ると不足しがちです。慢性的に不足すると、拡張型心筋症(心臓が弱って肥大する病気)や網膜の変性を引き起こすことがあります。

カルシウムとリンのバランスに注意(肉だけの食事はNG)

肉類はカルシウムに対してリンが非常に多く(目安として1:16程度)、猫に必要な比率(おおよそ1:1〜1:1.3)とは大きくかけ離れています。肉だけの食事を続けると、体は骨からカルシウムを溶かし出して血中濃度を保とうとするため、骨が弱くもろくなる「栄養性二次性副甲状腺機能亢進症」を招くことがあります。特に成長期の子猫は、わずか1〜3ヶ月でも骨や歯に影響が出ることが報告されています。骨ごと使える小魚等を取り入れる、カルシウム源を意識するなど、肉だけに偏らない工夫が大切です。

生魚の与えすぎに注意(チアミン欠乏)

コイ・ニシン等の一部の生魚には、ビタミンB1(チアミン)を分解する酵素(チアミナーゼ)が含まれています。こうした生魚を日常的に与え続けると、早ければ1ヶ月程度でチアミン欠乏症状(食欲不振・ふらつき・けいれん等の神経症状)が出ることがあります。加熱すればこの酵素は失活するため、魚は基本的に加熱してから与えましょう。

レバーの与えすぎに注意(ビタミンA過剰症)

レバーは鉄分等が豊富な優れた食材ですが、ビタミンAも非常に多く含みます。継続的に多量に与え続けると、首や関節周りに余分な骨が形成され、最終的には関節が癒合して動かせなくなる「ビタミンA過剰症」を起こすことがあります。一度進行した骨の変化は元に戻らないとされているため、レバーは主役ではなく、時々・少量のトッピングとして取り入れるのがおすすめです。

こうした偏りは、特定の食材だけを日常的に使い続けたときに起こりやすくなります。catableのレシピ投稿・ごはん記録では栄養価やAAFCO基準との比較ができますので、参考にしながら食材のバリエーションを意識してみてください。

3. 手作り食に切り替える時の注意点

「今日から手作り食に切り替えよう」と、これまでのフードを急にやめてしまうのは避けてください。猫ならではの、切り替え時に特有のリスクがあります。

猫は「絶食」に弱く、肝リピドーシス(脂肪肝)のリスクがある

猫は他の動物に比べて絶食への耐性が低く、新しい食事を食べてくれずに丸1〜2日以上ほとんど食べない状態が続くと、肝臓に脂肪が蓄積する「肝リピドーシス(脂肪肝)」という命に関わる病気を発症することがあります。特に体重が重め・肥満気味の猫はリスクが高いとされています。「そのうち食べるだろう」と様子を見すぎず、24〜48時間以上食欲不振が続く場合は、無理をさせずに動物病院へ相談してください。

切り替えは1〜2週間ほどかけて少しずつ

目安として、初日はこれまでのフード9割+手作り食1割くらいの割合から始め、体調や便の様子を見ながら、毎日少しずつ手作り食の割合を増やしていき、1週間〜10日程度かけて完全に切り替えるのが一般的です。持病があり療法食(処方食)を食べている猫の場合は、4〜8週間ほどかけてさらに慎重に進めることが推奨されています。この場合は自己判断で進めず、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。

食いつきを良くする工夫

猫は匂いで食べ物を判断するため、少し温めて香りを立たせると食いつきが良くなることがあります(人肌程度が目安。熱すぎるとやけどの危険があるので注意してください)。最初はいつものフードに少量トッピングする形で慣らすのもおすすめです。一度で食べなかったからとすぐに諦めず、食材や切り方・調理法を変えて何度か試してみましょう。ただし、食べない期間が長引く場合は無理をせず、いつものフードに一旦戻すことを優先してください。

4. 調理の際に気をつけたいこと

  • 生肉・生魚は寄生虫(トキソプラズマ等)や細菌(サルモネラ菌・カンピロバクター等)のリスクがあるため、中心までしっかり加熱しましょう。
  • 塩・砂糖・香辛料など、人間用の調味料は基本的に使わないでください。
  • 骨は必ず取り除いてください。
  • 猫が食べやすい大きさに切り、丸呑みによる誤嚥を防ぎましょう。

5. 与える時の注意

  • 熱すぎ・冷たすぎを嫌う子が多いため、常温〜人肌程度に冷ましてから与えましょう。
  • 初めて与える食材は、少量から試して数日は体調(便の様子・かゆみ・嘔吐等)を観察してください。
  • 食べ残しは傷みやすいため、出しっぱなしにせず早めに片付けましょう。

6. 保存方法

  • 作り置きは冷蔵で当日〜翌日程度、冷凍する場合は密閉して1ヶ月程度を目安に使い切りましょう。
  • 解凍は冷蔵庫内での自然解凍が基本です。一度解凍したものの再冷凍は避けてください。

7. 猫ごとに気をつけたいこと(ライフステージ・体質による違い)

必要な栄養は、猫の年齢や体の状態によって大きく変わります。catableの機能とあわせてご活用ください。

子猫(哺乳期・離乳期・成長期)

成長のため、エネルギーやタンパク質の必要量が成猫よりずっと多い時期です。前述のカルシウム・リンのバランスにも特に影響を受けやすい時期です。月齢に応じた目安は給餌量計算でご確認いただけます。

妊娠中の猫

通常よりも多くの栄養が必要になる時期です。猫プロフィールで「現在妊娠中」を設定すると、ごはん記録画面でAAFCOの妊娠期基準との比較ができます。

シニア猫

消化機能が低下しやすい時期です。消化に負担の少ない食材選びを心がけましょう。

持病がある猫

腎臓病・尿路結石・糖尿病など、病気によって適した栄養バランスは大きく異なります。獣医師の診断がある場合のみ、猫プロフィールで持病カテゴリーを設定すると、ごはん記録画面でその病気向けの栄養方針の目安を確認できます。自己判断での食事変更は避け、必ずかかりつけの獣医師の指示に従ってください。

アレルギーがある猫

特定の食材で体調を崩したことがある場合は、猫プロフィールにメモしておきましょう。

8. 栄養バランスの考え方

手作り食は、市販の総合栄養食と違い、ラボでの栄養成分分析や給餌試験を経ているわけではありません。単発で楽しむ分には大きな心配は不要ですが、手作り食を長期的な主食として続ける場合は、上記の落とし穴も含めた栄養バランスの偏りに注意が必要です。catableでは、AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を目安に、レシピの栄養価やごはん記録と比較できる機能を用意していますが、いずれもあくまで参考値です。

9. 心配な時は

体調に変化がある、持病がある、または手作り食を継続的な主食として与えたい場合は、必ず事前にかかりつけの獣医師にご相談ください。catableに掲載する情報は一般的な目安であり、診断や治療の代わりにはなりません。

出典: ASPCA「People Foods to Avoid Feeding Your Pets」 / Hill's Pet「Foods that are Dangerous or Toxic to Cats」 / Cats.com「Taurine for Cats」 / Vetlexicon「Nutritional Secondary Hyperparathyroidism in Cats」 / 「The Role of Thiamine and Effects of Deficiency in Dogs and Cats」(PMC) / VCA Animal Hospitals「Vitamin A Poisoning in Cats」 / VCA Animal Hospitals「Hepatic Lipidosis in Cats」 / University of Illinois College of Veterinary Medicine「Hepatic Lipidosis: When Cats Don't Eat」